ホリデイ・トレッキング・クラブ

PAPチューンナップ

1.チューンナップとは何?
 
スキー、スノーボードのいろんなショップにおいてよく「シーズンオフはチューンナップをしましょう」 などと書かれたポスターが貼られていると思いますが、では、いったいチューンナップとは何者なのでしょうか?

簡単に言えばよく滑るし、操作も楽になるので、無駄な力を使わずに滑ることができるということです。

ただそう言うとみなさんは年に2,3回しか行かないからそんなことするのはもったいないよ、と、よく言われます。
でも年に数回しか行かないお客様ほどそうそう簡単に板を買い換えることはしないと思います。
チューンナップは滑りやすくするだけでなく板の寿命も延ばしてくれるのです。

また今、 板を買おうと考えているお客様は絶対に新品の状態でチューンナップされることを お勧めします。
ボードはもちろんのこと、スキーもカービングになってきて幅が広くなっています。
最近は板自体の価格が下がっており最終の仕上げが非常に雑になっているのが現状です。
特に言えることはエッジと滑走面が均一に整っていないのです。(フラットでない)そのような状態で滑るとどうなるかというと、思っても見ないところで板がひっかかり転んでしまう。
逆にここで曲がりたいと思っても思うようにエッジが効かずに、ズルズル横滑りになってしまう。

私は下手だからチューンナップなんてしなくてもいいという考えはもう古い!!
これはある例ですが、始めたばかりの人が午前中レンタルの板で練習し、午後からチューンナップした板で練習しました。
始めてまだ数時間しか経っていない初心者の人ですらチューンナップをした板を滑りやすく思い、上達のスピードが遥かに早まりました。

このようなことからも板の手入れは不可欠だということがわかるかと思います。
 


 
2.チューンナップのサンディング仕上げとストーン仕上げの違いとは?
 
 サンディング仕上げ(大きなペーパーで削る方法)
 
長所>>
 安価で手軽にチューンナップをすることができる
ベースエッジも一緒に研磨でき時間を短縮できる
どんな板(滑走面がでこぼこ)でもチューンナップすることができる
 
短所>>
 ペーパーで削るのでどうしても細かいケバが立つ
それにより多少の抵抗になりストーン仕上げとは歴然に滑走性に差が出る
滑走面の硬さに大きく左右され、柔らかい滑走面を使用している板は一度にたくさん削れるので寿命が縮まる
 
ストーン仕上げ(車のタイヤみたいに細かいミゾを滑走面に刻み込む方法)
 
長所>>
サンディング仕上げとは比較にならないほどよく滑る
例) とあるスキー場でスノーボードを滑っています。超ゆるゆるの緩斜面を滑ってきました。もうそろそろリフト乗り場です。ある程度スピードを付けて行かないと止まりそうなぐらい平らになってきました。そんなときストーン仕上げのボードは鼻歌を歌いながらリフト乗り場の改札まで滑って来れるのです。※なんで私の板は止まっちゃうんだろう??みなさんそんな経験一度はしたことあるはずです。
 
短所>>
サンディングほどたくさん削ることがなく寿命も長いはっきり言ってサンディングと比べたら短所はありません。
ただ一つ言えば、サンディングよりも作業時間がかかるため多少価格が上がる。ただそれ以上の満足は必ず得られる。
 
以上が簡単な「チューンナップとは何?」の説明ですが、極論をもっと簡単に言うと、 ボードを自家用車に例えたとします。自分の車なら定期的に洗車するしワックスがけもすると思います。これが日ごろの メンテナンスであり、2年に一度の車検は車の調子や消耗品の交換、修理だと思います。これは自分ではできないことで専門のディーラーに依頼すると思います。これをボードに置き換えると日ごろのメンテナンスはワックスがけであったり、サビさせないように水気をふき取ったりすることであります。また自分でやるのが困難なエッジの研磨やソールの傷のリペア、ソールのフラット出し等が車検に相当するプロショップに依頼するところであります。この車検をボードの場合は年に最低1回以上行うことをお勧めします。

まめ知識

1.滑走面の状態

1.フラット(赤)   :望ましい状態 《なるべくこの状態に近づける》
2.コンケープ(緑)  :滑走面がへこんでいる状態 《ターンをする時にエッジが引っかかりタ—ンしづらい》
3.コンベクス(青)  :滑走面が膨らんでいる状態 《スピードが出るとエッジのかかりが悪くコントロールしにくい》
※ 工場出荷段階では2や3の状態が多く、ニュースキーまたはニューボードでもチューンナップが必要です。
 

2.エッジのチューニング
ベースエッジのビべリングについて

※上図:エッジが雪面にベタッと付いている状態からターンを始めると力が必要ですが、雪面とエッジの間に遊びの部分を作ることで振子運動がしやすくなりスキー操作・ボード操作が楽になります。

《ターン始動時の引っ掛かりの解消》1°〜2°の遊び

※下図:ベースエッジに遊びを作った分サイドエッジを鋭角に削り角度を90〜89°になるように調整する。

1°〜3°削り込む
 

3.ストラクチャー加工
図1

図2

☆ソールを削る方法として
    ・ 「サンディング」⇒サンドペーパーで削る
    ・ 「ストーン」⇒砥石で削る

 以上2つの方法があります。

ストラクチャー加工(ストーンフィニッシュ)がお薦めです。
 
☆ ストーンで削る利点
「ストーン」でソールを削ると規則的な溝が刻まれます。
この溝は滑走中の摩擦によりソールと雪面の間にできた余分な「水分」を排除し、更に「走り」の効果を促進してくれるのです。
つまり自動車のタイヤに刻まれているトレッドパターンと同様の働きをするのです。
更にワクシングの際、溝の隙間へより多くのワックスを浸透、吸収させる働きがありまた、ワックスとの相乗効果により、滑走中の摩擦も低減してくれるのです。
 
☆ストラクチャーは大きく分けて「ストレート」と「クロス」があります。
ストレート ⇒ 主にあまり曲がらないスーパーGなどのハイスピードなアルペン競技向き

クロス ⇒ 一般ゲレンデ・ハーフパイプ・SL・GSなど幅広く使用

刻み込む「溝」は深さや荒さによっても効果が変わります。
一般的には細かく浅い物が主流ですが、エンドシーズンなどの湿雪には深く荒い「溝」を刻むと滑走性がアップします。
つまりストラクチャーはとても優れものなのです
 

4.ワキシング
 
「イージーワックス」「ホットワックス」の2つに分けられます。
 
イージーワックス
イージーワックスのメリットはアイロンなどの道具を使わずにいつでもどこでも簡単に使える事、雪温への適応範囲が広いことなどですが、反面長時間の滑走や摩擦熱によりワックスが滑走面から剥がれやすい欠点もあります。

イージーワックスは滑走面の上に層を作ることで滑走性を発揮していますが、この層が薄いほど良く滑ります。ですからイージーワックスを使用する際は塗った後に必ずコルク等で十分にこすりながら薄くワックスを伸ばすことをお勧めします。
 
ホットワックス
ホットワックスのメリットはアイロンで熱をかけることにより滑走面の内部にまでワックスを染みこませ、滑走性と持続性の高いワクシングができる事、そして熱をかける事で滑走面内部の汚れを浮き出させ取り除く事ができます。ホットワックスの後に一度塗ったワックスを剥がすのをご存知でしょうか?

ホットワックスは滑走面に染みこんだワックスだけが滑走性を発揮します。
滑走面は高密度のポリエチレンで作られています。この滑走面には目に見えない細かい穴が無数に開いているのです。
この穴はホットワックスで熱をかける事によって口を開きワックスを吸収します。そして表面に付着しているワックスを残らず剥いで表面にワックスが残っていないようにします。
ストラクチャー加工などをしている場合はブラッシングも行います(常温での作業)。そして、このスキーやボードをゲレンデに持ち込み雪面に置きます。
すると滑走面は冷やされワックスを吸収していた穴がちぢみ始めワックスを少しづつ吐き出すのです。
これが、ホットワックス効果です。

たとえワックスと言えど滑走面にデコボコと付着した物はゴミと同じで滑走の妨げになります。
更にワックスは汚れを吸収しやすい性質があるのでゴミ以上にたちが悪いのです。
ホットワックスをされる際はこのような事を十分に理解し行ってください。

注)アイロンをかける時の注意
ワックスを滑走面に生塗りし、必ずワックスペーパーを使ってアイロンをかける。
アイロンはトップからテールへ(途中で止めたり往復させない)。
1箇所に熱をかけ過ぎると簡単に滑走面は焦げてしまいますので要注意!


今や競技の世界においては常識となった。
「サーモバッグワクシングシステム」

そのシステムは中温(40~60℃)に温められたバッグ内にホットワックスを塗ったボードを数時間入れ続け、ワックスの浸透を促進するという物。
しかし、単に「ワックスを塗り込む」作業を短縮するだけではなく、アイロンで塗るだけでは到達できないソール内部までワックスを浸透させる事ができます。
しかも、サーモワクシング後、通常のアイロンによるワックス塗布時のアイロンの滑りワックス浸透は驚きです!
是非一度お試し下さい!
 

チューンナップフロー

その1. チューンのオーダー
その2. サンディング&ストラクチャー
その3. リペア&仕上げの削り
その4. エッジの手仕上げ
その5. ワクシング&サーモバッグ
その6. 仕上げのブラッシング
その7. 完成そしてQ&A